大切な歯を守る予防歯科

治療も大事ですが、予防はより一層大事です。 
歯科医療の限界として、一度治した歯がその後一生むし歯や歯周病にならないと言うことは残念ながらありません。
一昔前は治しては悪くなり、また治しては悪くなるといった不毛な治療が繰り返されていました。
しかし、そのつど歯は確実に悪くなっていきます。
いかに治した歯を長持ちさせるか、これこそが最も大事なのです。

クリーニングの流れ

ＴＢＩ

セルフケアがどの程度出来ているかを評価するためにプラークの染出しをします。染め出された部分が全体の何％程度かを評価しＰＣＲ（プラークコントロールレコード…磨き具合の評価）を算出します。ＰＣＲが２０％以下になる事を目標としており、磨き残しのある部分などについて適切なセルフケアの方法を指導させて頂きます。

スケーリング

歯石の除去を行います。歯石は下顎の前歯や上顎の大臼歯などの唾液の出口（上顎は耳下腺、下顎は顎下腺、舌下腺）付近に付着しやすいため入念に行います。歯石の付着しやすさには個人差があり、できやすい方では1か月くらいでも出来てしまいます。歯石を残しておくと歯周病が進行しやすいため定期的にスケーリングが必要となります。スケーリングには一般的に超音波スケーラーを用いますが超音波スケーラーが届かない場所やより細かい作業が必要な場所では手用のスケーラーを用いることもあります。超音波や手用のものであってもスケーリングで健康なエナメル質や象牙質が削れることはありませんのでご安心ください。

ポリッシング（研磨）

スケーラーは硬い歯石などの除去には効果的ですが、プラークやまだ軟らかい歯石、着色の除去などには不向きです。ポリッシングでは専用の研磨剤が入ったペーストを何種類か用いて歯の表面に付着したプラークや小さな歯石などを取り除いていきます。また、歯の表面に小さな傷がついているとこれが原因となって歯石や着色が付きやすくなるため、これらを防止するためにもポリッシングは有効です。

フロッシング（デンタルフロス）

歯と歯の間に付着したプラークを取り除きます。ＰＣＲを２０％以下にするためにはフロッシングは不可欠です。デンタルフロスは普段使い慣れないとは思いますが、しっかりと使用法を覚えて頂いて日々のセルフケアに活かして下さい。

フッ素　or　ＭＩペースト

歯をきれいにした後はフッ素やＭＩペーストといった歯を強くする効果のある薬剤を塗っていきます。フッ素には化学反応によって歯の主要成分であるハイドロキシアパタイトをフルオロアパタイトに変化させ、それによって耐酸性が向上し、むし歯によって歯が溶かされにくくなるという効果があります。ＭＩペーストにはカルシウムイオンが豊富に含まれており、カルシウムイオンが歯に取り込まれることによって再石灰化を促します。 

歯ブラシ、フロス、歯間ブラシの使い方

歯ブラシ

歯ブラシの毛先部分を歯、または歯と歯肉の境目に軽く当て、小刻みに軽く振動させるように磨きましょう。 
中でも、歯と歯肉の境目はプラークが付着しやすく、歯周病の細菌の入り口となります。歯ブラシを斜め45度の角度に当て、浅い歯肉の中も磨くような気持ちで磨くことがポイントです。 
裏側、咬む面も汚れがたまりやすいので、しっかり磨きましょう。 
歯ブラシは歯のお手入れの基本です。食後テレビを見ながらや、お風呂に入りながらでも構いませんのでしっかり時間をかけて歯磨きをすると良いでしょう。

フロス

歯と歯の間は歯ブラシだけではプラークはなかなか落としきれません。デンタルフロスを使用するようにしましょう。 
歯と歯の間に斜めにスライドさせながら前後にゆっくり動かし、一度歯肉の下あたりまでゆっくりと引き下げます。 
挿入できたら、フロスが歯肉に少し隠れるくらいまで奥に挿入します。 
歯についたプラーク（歯垢）をこすり落とすように歯に沿わせながら上の方へ移動させていきます。これを4～5回繰り返しましょう。

歯間ブラシ

歯や歯肉（歯ぐき）が健康な方にとっては必要ありませんが、歯周病が進行して歯と歯の間に隙間が空いてしまっている方は歯間ブラシが必要となります。 
歯と歯の根元に直角に挿入し、何度か出し入れしましょう。 
出来るようであれば、裏側からも入れると清掃効果がアップします。