親知らずの
抜歯も対応可能です
親知らずって何?
親知らずとは別名第三大臼歯の事で最後に生える最後方の奥歯です。古代の人類は現代人よりも加工されていない硬い食べ物を食べていた為現在よりも顎が発達しており、そのため親知らず(第三大臼歯)も通常の他の歯と同様有効活用されていたと考えられています。しかし現代では古代の人類と比べ、加工食品などの軟らかい食べ物が増え硬いものを食べなくなってきており顎は細く小さく変化してきました。一方で歯の本数や大きさは昔とさほど変化してきていないため、親知らず(第三大臼歯)がきちんと生えられるような顎骨のスペースが足りず、変な生え方をして歯並びを悪くしたり、歯周病やむし歯の原因となったりするようになりました。
抜歯は必要か
親知らずが起こす問題には大きく3つあり
①歯並びに対する影響
②歯周病になりやすい
③むし歯になりやすい、です。
このうち①については親知らずの向きによって引き起こされるもので、②、③については変な生え方をして磨きにくくなるために引き起こされるものです。つまり②、③、については歯の一部が表に出ていない場合、あるいはきれいに生えておりプラークコントロールが良好な場合には問題とはなりません。①については仮に骨の中に埋まっていてもこれから矯正を考えている方や歯並びを気にされる方は問題となります。まとめると、親知らずがきれいに生えておりプラークコントロールも良好な方以外は基本的には抜歯をした方が良いと考えられます。
抜歯後の注意点
通常の抜歯の時とほとんど変わりません。
抜歯当日は痛みや出血があります。痛みに対しては痛み止めを内服し、出血に対してはガーゼを折りたたんで咬むことで圧迫止血を行ってください。
痛み止めを飲んでも我慢できないほどの痛みや何度圧迫止血を試みても数分で口の中が血でいっぱいになるようなケースは直ちに連絡を下さい。
親知らずの抜歯に関しての特別な注意事項としては、特に下顎の親知らずの抜歯の場合、親知らずの根の先端付近には顎骨の中を走っている下歯槽神経とよばれる神経が存在し、極めて低い確率ではあるもの根の先端と接している場合があります。
抜歯の際にはこの神経を傷つけないように細心の注意を払うのですが、万が一傷つけてしまうと下唇にしびれが出る事があります。もし下顎の親知らずの抜歯後1日たって麻酔が切れても下唇にしびれが残る場合には消毒の際に先生に申し出てください。
抜歯の流れ
表に出ている親知らずの場合は通常の抜歯の流れと変わりません。へーベルと呼ばれるマイナスドライバーのような器具を用いて歯と骨の隙間に器具を挿入して歯を脱臼させて抜歯します。
その他にも歯の生え方などを考えて鉗子と呼ばれるペンチのような器具を用いることもあります。骨の中に埋まっている親知らずや横を向いて隣の歯に接している親知らずの場合は、すこし難しくなります。
まずは
①親知らずの上を覆っている歯肉を切開して開きます。(切開剥離)
②親知らずの歯冠部が露出されるように周囲の歯槽骨を削ります。
③歯冠と歯根をバーを用いて切断、分割して歯冠を取り除きます。
④残された歯根をへーベルを用いて脱臼させ取り除きます。
以上が大まかな手順となります。
特に下顎の骨性水平埋伏と呼ばれる骨の中に埋まっておりかつ横を向いて隣の歯に接しているものは最も困難で、処置時間も30分~60分ほどかかります。
口腔外科に対応していない一般的な歯科医院では大学病院や総合病院へ紹介されるケースが多いです。
CTの有用性
近年CTの普及により一般開業医においてもCTの撮影が可能となってきました。
CTはComputedTomographyの略称で、通常のレントゲン撮影はX線を用いた影絵で二次元的な評価しか出来ないのに対してCTはコンピュータ上で撮影されたデータを三次元構成された画像に変化して表現できるため、より正確に臓器や病変の位置を把握する事が可能となります。
特に歯科においては親知らずの抜歯などで上顎であれば副鼻腔の一つである上顎洞と抜歯を予定している親知らずとの位置関係、下顎であれば下歯槽神経との根の位置関係を術前に知る事ができるといった利点があります。